- 著者
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植田 康孝
本研究の目的は, 2012 年6 月6 日に開票された「(第4 回) AKB 48 27th シングル選抜総選挙」について,ユニット化のメリットとロングテール構造を確認して, 且つインターネットの影響を実証するものである。本研究の実証結果より, 「総選挙得票数」に与える, 「ユーチューブ(政見放送) 再生回数」の弾性値は0.47,「Google+登録ユーザー数」の弾性値は0.97 であることが明らかとなった。劇場からスタートしたため, 元来, AKB 48のファンは自ら「参加したい」「発信したい」という欲求が高い。最大公約数を狙うマスメディアが提示する世界ではなく「自分の興味関心が高いメンバーに近い世界を構築したい」と考えるファンで構成されている。ところがテレビは時間的制約があるため, ファンのニーズを満たし得ない。一方, 制約がないインターネット上では,興味関心メンバー毎のコミュニティが形成され, ファンはマスメディアより満足度を高めることができる。 こうしたコミュニティが増殖するに従い, ファンが活用する情報メディアとしてマスメディアからインターネットへのシフトが進んだ。AKB 48 の場合, 従来のアイドルと異なり, テレビ番組や歌番組などマスメディアでの露出よりも, 「ユーチューブ(政見放送)」や「Google+」などのインターネットや, 秋葉原「ドン・キホーテ」8 階にある「AKB 48 劇場」やCD 購入者を対象とした「全国握手会」など「ライブ・イベント活動」の影響の方が大きいとかねてより指摘されていたが, 本稿での実証結果もこれを裏付けており, 今後のアイドル・プロモーションにおけるメディア選択の方向性の一つを示したと言える。