- 著者
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中別府 温和
Harukazu NAKABEPPU
- 雑誌
- 宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.1, pp.73-108, 2013-03-08
本稿では、宗教的文化統合という仮説的操作概念を使用して、マヤ・ユカテカの一カトリック村落マニの空間感覚を分析した。具体的な分析の場面での仮説的視点は、宗教事象の太古性・残存性、世界性・公共性、理念性・非合理性、社会統合(integration)・内調整(inner adjustment)機能である。 マニの空間感覚の全体像としては、中心・四方(五方)および共有地の太古性・残存性、神話的事実の現実化の理念性・非合理性、祈りとコンパドラスゴの世界性・公共性が重要である事実を提示した。 さらにマニの修道会・教会がマヤの伝統とカトリシズムを複合させつつ重要な空間として存続変容してきている実態を分析した。具体的には、修道会・教会の建築空間の象徴性を宗教事象の太古性・残存性、世界性・公共性、理念性・非合理性、社会統合(integration)・内調整(inner adjustment)機能の視点から分析した。主に中心(k'iwic ; centro)、インディオ学校・インディオ礼拝堂、セイバの木(yaxche)・洞窟(actun)、マヤ十字形と十字架、聖母マリアによる幼子イエスの左抱き聖像を分析することによって、マニの修道会・教会がマヤ・カトリシズム複合体として存続変容してきている事実を提示した。 これらの分析結果を踏まえて、さらにマニの空間感覚を個人の断面で具体的にかつ厳密に分析することが今後の研究課題である。