著者
山内 良太 ヤマウチ リョウタ Yamauchi Ryota
出版者
大東文化大学漢学会
雑誌
大東文化大学漢学会誌 (ISSN:04149572)
巻号頁・発行日
no.53, pp.115-142, 2014-03

本論考は次の二点を述べようとしたものである。第一に、「進学解」の段落構成に対する先行研究の見解には二つの説が併存していたことである。この点については第一章で、三段落構成の作品と理解するのが主流であるものの、四段落構成の作品と理解しているものも存在していたことや、このような二つの説のどちらが妥当なのかという問題が論じられていないことを指摘した。第二に、他の作品との関係から考えれば、四段落構成説の方が妥当なことである。この点については第二章で、三段落構成説には三つの問題点があることを指摘した。三つの問題点とは、一つ目に、教師への尊称と理解すべきであるはずの「先生」を教師の自称と理解しなければならないこと、二つ目に、同一人物であるべきはずの後攻の話し手と最後の話し手が別の人物になってしまうこと、三つ目に、やり込められる者であるべきはずの教師がやり込める者になってしまうことである。これらの問題点は四段落構成説では解消される。したがって、「進学解」は四つの段落に分けて読まなければならないというのが本論考の結論である。

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