著者
柳下 正和
出版者
城西大学
雑誌
城西大学経営紀要 (ISSN:18801536)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.35-52, 2012-03

少子高齢化,グルーバル化,財政健全化,地方分権といった深刻な問題を抱えるわが国経済社会にとって,税制の抜本的改革の必要性が指摘されてきた。最終的な政治判断は先送りされ続けてきたが,税制の抜本的改革の政策提言が数多く出されている。本稿では,まず,国際課税も含めた法人課税の抜本的改革に関する議論を整理し,グローバル経済における法人課税の在り方を明らかにしている。法人課税に関しては,経済のグローバル化をにらんで法人税率の引下げが論じられてきた。従来,法人課税は経済の活性化と企業の国際競争力の向上の点から議論されることが多かったが,グローバル経済のもとで,対内直接投資を呼び込んで,経済の活性化を図ろうをする視点も新たに加わってきている。また,目指すべき方向として,超過収益に限定した源泉地ベースの法人課税方式を検討すべきであるという意見も出てきている。次に,政権が民主党に代わってから2度目となる平成23年度税制改革大綱における法人課税の取り組みについてふれ,それがどのように評価されているのかを議論した。税率の引き下げや雇用促進効果,国際的な調和という観点からみると概ね評価できるとされているが,景気回復やデフレの解消に関しては効果を疑問視する見方も出ている。最後に,グローバル経済下における法人課税については,その進むべき方向性として,国際課税の分野では世界各国との調和を図りつつも,わが国に対内直接投資を行い,進出する企業が増加するといったインセンティブを与えられる租税政策が実行されるような戦略的な視点から,効率性や簡素化を目指した抜本的改革が行われるべきである。 This paper discussed recent Japan's corporate income tax reform. Japan's corporate income tax rate is higher than foreign countries. The corporate tax rate will be reduced by 5% in order to promote domestic investment and job creation through enhancing Japanese companies' international competitiveness as well as improving the environment for business establishment in FY 2011 tax reform. In this paper, it is argued how FY 2011tax reform is evaluated by experts. Japan's corporate income tax reform sould be intended by strategic reform will inward direct investment in global economy.

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