- 著者
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三浦 正
- 出版者
- 島根農科大学
- 雑誌
- 島根農科大学研究報告 (ISSN:05598311)
- 巻号頁・発行日
- no.9, pp.(A-1)222-236, 1961-03-31
ニシキソウ科のアブラギリの実から搾取した桐油が,乾性油として重要性をもっていたことは特筆するまでもない.特に第二次大戦後の数年は桐実の生産者価格も非常によく,農家にとっては有利な特用樹であった.島根県は我国でもアブラギリの主要生産地として大きな役割を果たしてきた.ところが,1950年頃から島根県下のアブラギリ栽培地帯にオオキンカメムシ(Eucorysses grandis THUNBERG)が大発生して桐実に大被害を与えた.島根県に栽培されているアブラギリの大部分は日本種で,支那アブラギリや広東アブラギリは比較的近年植付けられたもので生産量も僅かである.この支那種も広東種も島根半島地域の割合暖い場所でみられる.このアブラギリの害虫であるオオキンカメムシは島根においては日本種に被害を与え,支那種,広東種は被害を全く受けなかった.桐実が加害されると結実不良となり,桐油かとれないので被害は大きい.島根は気侯条件からして日本種が最適で外国種は霜凍害を新芽に受けやすく生育が良好でない.日本種が本虫の被害を集中的に受けるので県としても,農家としても重要な問題であるので防除対策を講じなけれぱならない必要から著者は本虫に関する研究をなしてきた.本虫の発生当時はオオキンカメムシに関する研究は殆ど皆無であった.著者は本虫の生態について研究し,三浦,近木(1953),三浦(1954),三浦,近木(1957),三浦(1958)として公表してきたが,近年オオキンカメムシが減少し実験も殆ど不可能になってきたので一応研究を打切りたいと考えて,今までの研究成果をとりまとめて印刷公表し,参考に供したいと考える.本研究は1952年から'57年までに実施したもので,その間多くの人から御援助いたゞいた.特に本学近木助教授には共同研究者として又本文をまとめるについて色々と教示いただいた.京都大学内田教授,島根県農林部吉岡,須山両技師の御厚意に深く感謝いたします.