著者
辻 竜平
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集 = Shinshu studies in humanities
巻号頁・発行日
no.2, pp.67-79, 2015-03

口承文芸の一つの形態に昔話がある。本稿では,新潟県旧栃尾市で水沢謙一によって収集された「三枚のお札」のヴァリアントを事例に取り上げ,その地理的な分布と物語の内容の特徴が,通婚圏によって規定されているのではないかと考えた。農村集落では近隣集落から語り手の女性が結婚して移動したことから,近隣の農村集落間でヴァリアントの類似性が高く,かつ,比較的特徴的なものであると予想した。一方,町部では女性がより広域に移動したことから,町部における口承文芸のヴァリアントは,折衷的であまり特徴のないものになってしまうと予想した。コレスポンデンス分析の結果,予想はおおむね支持された。

言及状況

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この論文で挙げられている構成要素「三枚のお札をくれたのは」と「小僧の代わりに返事したのは」の内容に、「せんちんの神様」「しんちんの神様」「しんちんのかんさま」「あっぱんじょのかんさま」等ありました。少なくとも新潟県旧栃尾市では厠神がよく登場しているみたい。 https://t.co/KW0EoBWRjf
著者の水沢謙一さんは新潟でこの説話の様々なパターンを収集して再構成されたそうで、それを資料として用いた論文もありました。これによると、三枚じゃなくて二枚だったり、お札じゃなくて玉だったり、面白い。山姥の最期にも色々なパターンがあるようですね。 https://t.co/KW0EoBWRjf

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