著者
小風 尚樹
巻号頁・発行日
2015-06-01

この論文が取り組んでいるのは、ある種の思考実験である。そこで著者らは、TEI P5を用いて文脈に即した人物研究や地名誌のマークアップをするのと同じような形式で、財務記録史料に含まれる財政上の特定の意味内容を表現するために利用し得る符号化システムを提案している。ここで想定されるシステムは、TEIを「拡張」するカスタマイズとして表現され、「複式簿記」と呼ばれる財務記録の一形態をも符号化できるほど柔軟なものである。「複式簿記」とは、商品やサービスと貨幣や信用貸しとの交換過程で行われる、様々なモノの移動(転位:transfer)を記録するための簿記の方法論である。マークアップの実例は、Wheaton College Digital History Projectから引用している。ODD文書の暫定的なバージョンについては、「財務記録史料の符号化」(http://www.customization.encodinghfrs.org/) で利用可能である。東京大学大学院人文情報学拠点における2014年度大学院授業「人文情報学概論 II」(下田正弘、A. Charles Muller、永崎研宣)の一環として、担当教員諸氏による指導に基づき、 Kathryn Tomasek and Syd Bauman, 'Encoding Financial Records for Historical Research', Journal of the Text Encoding Initiative [Online], Issue 6 | December 2013, Online since 26 September 2013, URL : http://jtei.revues.org/895 を翻訳したもの。

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@khargush1969 写本校訂だけでなく文書史料の校訂・分析にも使えるみたいですね。奥が深い世界のようです。 CiNii 論文 -  「歴史研究のため財務記録史料マークアップ手法」和訳 https://t.co/YuLB8jDP8p #CiNii

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