著者
植田 康孝

2013 年のダボス会議でも紹介されたように、大学によるインターネット上の教育が台頭している。大学による講義のオンライン配信は以前からあったが、所属学生だけが対象で、形式も単に動画を配信するものが一般的であった。それに対し2012 年から米国で本格的に普及した「ムークス(MOOCS)」は、登録さえすれば誰でも無料で受講できる上、参加している世界の大学から講義を選択できる。日本の場合、「コンテンツ」という用語が用いられる場合、エンタテイメント系や文芸系に関するものが主であることを前提とするが、近年、多くの先進国において教育コンテンツが重要になっている。欧米の知識体系を基盤とした教育コンテンツがインターネットを通じてグローバル、オープン、ソーシャルに展開されていく中、日本の教育コンテンツは「ガラパゴス状態」に陥りつつある。たとえば、電子書籍について議論される場合においても、日本ではエンタテイメントや文芸を中心としたコンテンツの議論がなされるが、欧米では大学における専門教育のようにターゲット層が明確となっていて知識体系が整備されている分野に関する教材から展開されることが多い。欧米の多くの大学は、講義や教材をインターネット上に公開しており、学生にとって、自分ペースで学習できる、分からないことを世界中にいる学生が手助けしてくれる、一方的に講義を聴くのではなくアクティブに参加できる、という利点を有している。オンライン上で無料・安価で受講できる教育革命は経済力の差や地理的なハンディキャップを取り払う。先進国で進む大学のオンライン化は大学、教員、学生の3 者に「大学および大学教育の価値とは何か」という根源的な問いを突き付けている。

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こんな論文どうですか? 大学教育2.0 オンライン講義が大学を変える~アダム・スミス「大学論」を基にして「大学および大学教育の価値」を再考する~(植田 康孝), https://t.co/brVAos3DW6 2013 年のダボス会議でも紹介された…

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