- 著者
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倉沢 愛子
- 出版者
- 慶應義塾経済学会
- 雑誌
- 三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
- 巻号頁・発行日
- vol.107, no.3, pp.425-443, 2014-10
特集 : 1940年代の地域社会と人の移動 : 日本帝国膨張・収縮期の地域社会第二次世界大戦中, 日本軍占領下のインドネシア, ジャワ島で行政補佐のために日本式の隣保制度が導入された。短い間ではあったが, 上意下達, 相互監視, 防諜・防空, 配給などにおいて活用され, 統治者にとって非常に有益な役割を果たした。そして敗戦で日本軍が去ったのちにも現地の社会に生き続け, とりわけ開発独裁の時代(1966–1998年)には重用された。それは日本の占領統治とスハルト政権による権威主義的な統治とが持つ基本的な性格の類似性によるところが大きい。本稿は戦時期ジャワにおいてこの隣保制度がどのように設立され, どのように機能したのかを当時の日本軍関係の文書, 新聞報道ならびにフィールド調査に基づいて検証し, 同時にそれが現在のインドネシアにおいてどのように活用されているのかを概観する。