著者
森光 義昭
出版者
近畿大学九州短期大学
雑誌
近畿大学九州短期大学研究紀要 (ISSN:09164383)
巻号頁・発行日
no.34, pp.45-56, 2004

現代社会を表現する言葉の一つとして情報社会と称しているが、目まぐるしく変化する社会に対応するためには学校教育の場においても、従来から行われてきた教育に対しての変革が求められている。その中でもIT産業に伴う情報の発展はコンピューターやその周辺機器の開発が進み、人々はそれらの操作の仕方を学習することに追われている状態である。次から次に商品の開発が進められていくと、青少年たちは情報についての正しい知識や理解を得ることに追いついていくことができずに、ただ目新しい商品へと関心が寄せられることになっている。 本研究ではその方法として、大学1年生男女(教職課程科目履修者)に対して質問紙によるアンケート調査を行う。現代の若者の携帯電話を中心に据えてそれらの関連性の実態を把握することによって、現代の青少年の情報に関わる課題を分析し、情報化社会をどの様に捉え、展望や課題性をどの様な認識をもってスタンスを取っているか、また、携帯電話に対する理解や認識、携帯電話が日常の生活にどの様な影響を与えているか、さらに、今後の教育の在り方等について研究する。 調査結果から見えてくるものは、携帯電話はほとんどが高校生までに保護者から買ってもらって持っている。携帯電話を持った動機としては友人が持っているのでという何となくという状況である。1ヶ月間の携帯電話の使用料は5,000円以上~10,000円未満がもっとも多い。また、使用している回数も3回から5回辺りに集中しており、中には11回以上というのもあり、時間的にも1時間程度使っているという状況である。したがって、経費もかなりの高額になっている。最近の若者の活字文化離れが指摘されているが、手紙を書くという生活経験も少なく、手紙を書く形式や手紙に用いられる用語等の理解も十分ではない。また、新聞、小説(本)、雑誌などを読む習慣も身に付いていない。 情報社会における情報機器(マス・メディア)に対する認識としては、その機器に対する生産性や目的の正の効果と負の効果の両側面を十分に捉えることができないでいる。特に、情報機器(携帯E-メール)の利点として、人と直接会わないで連絡が取れるから便利であると認識していることに対しては多くの課題があるように思われる。したがって、情報や情報機器についての学習の在り方として、パソコンの使い方(操作の仕方)の学習や実際に学習課題の解決のためのソフトを使った学習や教科の学習は行っているが、これからは、「情報機器が産業社会や日常生活にどの様な豊かさや危機をもたらしているか」という観点での「情報」に関する学習のカリキュラム編成が重要な課題となってくる。機器の取り扱い方の習得は言うまでもないが、新しい学力観に立った情報教育の在り方が幅広く求められることになる。

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