- 著者
-
栗原 由紀子
- 雑誌
- IERCU Discussion Paper
- 巻号頁・発行日
- vol.257, 2015-09
本研究は,法人企業景気予測調査(財務省・内閣府)および法人企業統計調査(財務省)の調査票情報を用いて,外生的ショック発生時とその後の収束過程における企業予想の非対称性および個別企業の異質性を階層ベイズ・パネル順序ロジスティック回帰モデルにより明らかにした。 その結果として,国内需要に関して企業規模と予想の非対称性の関係は,リーマン・ショックと東日本大震災とで結果が真逆となることが示された。また,売上高経常利益率によってバイアスの傾向が異なっていたことから,収益性の高低差が,不安定な経済状況下における将来見通し(または,それに付随する事業計画設定等)の特性に影響する可能生が示唆された。さらに,アベノミクス前後に関する販売価格予想の分析結果からは,企業規模が大きい企業ほど,販売価格を過小に予想した結果が示されており,政権交代による経済効果に控えめな反応を示していた形跡が捉えられた。