著者
津崎 哲雄 Tetsuo TSUZAKI 京都府立大学福祉社会学部
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-19, 2005-02

本稿では、戦後初めて全国的にメディアの注目をあびた栃木県宇都宮市における「里親による里子傷害致死事件」を素材に、現行里親制度・委託実務の現状を分析し、わが国における里親システムがいかなる特質をもつものであるか検討した。まず、わが国における里親制度のブローファイルを述べ、事件概要を紹介し、事件の要因分析をおこない、種々の側面からわが国の里親制度が諸外国のものとは著しく異なることを明らかにし、若干の他国のモデルと比較しつつ、今後の施策・実務課題や改善すべき点を明らかにした。具体的には、児童相談所の里親認定/調査の杜撰さ、委託後の指導/観察訪問が行われず、委託中の支援も皆無で、里親は全く研修を受けておらず、社会的孤立していたことが判明し、刑事裁判の判決(懲役4年実刑)が示唆するような容疑者個人に事件原因を収斂させることへの疑問を提示し、わが国の里親制度に巣食う根源的問題が真の原因であると結論づけ、今後改革を要する諸点を提示した。

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こんな論文どうですか? わが国における里親制度の基本問題 : 宇都宮里子傷害致死事件に学ぶ(津崎 哲雄ほか),2005 https://t.co/KU7y0jDBzd
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