- 著者
-
森 進
- 出版者
- 天理大学学術研究委員会
- 雑誌
- 天理大学学報 (ISSN:03874311)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.1, pp.15-47, 2009-10
『天理大学学報』第220輯において,天理教の信仰的実践行為「おぢば帰り」の目標地点である聖地「ぢば」の意味と「ぢば定め」の意味に焦点を絞って論考した。「ぢば」の意味については,まず,人間元はじまりの地点とし,次に,その地点を基に教示されている意味を,『みかぐらうた』から9種類,『おさしづ』から70種類,『稿本天理教教祖伝逸話篇』から14種類に分類して、考察した。さらに,「かんろだいのぢば」のある神殿の形状から「ぢば」の教学的意味として4点を挙げた。最後に,「ぢば」の立体的意味を考察した。加えて,「ぢば」には,「行く」ではなく,「帰る」という表現を使う理由として2点を挙げた。そして,「ぢば定め」の意味として3点を挙げた。天理教信者の帰る目標地点は,「ぢば」とされるが,その他に,天理教の聖地を表現する重要な用語として,「やしき」,「親里」という2種類の言葉がある。そこで今回は,「ぢば」の意味と「やしき」,「親里」の比較を中心にして,それぞれの関連性とともに,「おぢば帰り」,「お屋敷帰り」,「おやざとまいり(親ザト参リ)」の呼称と意味についても論考を試みる。