著者
森 洋明
出版者
天理大学おやさと研究所
雑誌
天理大学おやさと研究所年報 (ISSN:1341738X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.19-32, 2003

フランスで,イスラム教の女子生徒が着用するスカーフが初めて社会問題として取り上げられたのは,1989 年のことである。60 年代からのイスラム教系移民の増加がその背景にあるが,2003 年12 月,シラク大統領は国民に向けて,スカーフの規制に関する法案作成を示唆する演説を行った。これを受けて,国民議会は法案を賛成多数で可決し,2004 年の新学期から適用することを決定した。このいわゆる「スカーフ問題」の焦点は,ライシテ(Laïcité)と呼ばれる,公共機関における非宗教性である。これは1789 年の草命以来,フランスを支え続けてきた共和国精神の核となる考え方であるが,それはまたカトリック支配からの脱却の中で培われた精神でもある。さらにそこには,「不可分」と謳う共和国憲法が押し進めてきた,移民に対する同化政策も無関係ではない。しかし一方で,この問題の根底には,今日のフランスが抱えるイスラム教系移民との社会摩擦も見え隠れする。In France,the headscarf worn by Muslim schoolgirls became a social issue for the first timein 1989. The increase of Muslim immigrants that started during the 1960s was an underlyingfactor. In December 2003,President Chirac gave a speech to the nation that hinted at draftinga law banning the wearing of the headscarf. Accordingly,the National Assembly passed thelaw by a majority and decided to enforce it from the new school term of 2004. The focus ofthis"headscarf issue" is so-called "Laïcité," which is secularism in public institutions. It isone of the core ideas of the republican spirit that supported France since the revolution of1789,and is an idea that developed through breaking away from the control of the Catholicchurch. Also related is the assimilation policy for immigrants the constitution of the"indivisible"Republic has been promoting. However,the issue also appears to be rooted in social frictionwith Muslim immigrants in France today.

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こんな論文どうですか? フランスのスカーフ問題(森 洋明),2003 https://t.co/1DMZ7Y9BFZ フランスで,イスラム教の女子生徒が着用するスカーフが初めて社会問題として取り上げられたのは,1989 年のことである。60 年代か…
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