著者
高重 久美
雑誌
文学史研究 (ISSN:03899772)
巻号頁・発行日
no.41, pp.17-29, 2000-12

「秋夕風」に関して、「秋夕風」題で初めて歌を詠んだ「六人党」の源頼実と、そのことを強く意識していた源俊頗のことが思い浮かぶ。彼らは清新かつ印象群明な傾向の強い歌を詠んでいる。その理由として、頼実の場合には漢詩文を能くしたことも言えようが、俊頼との間に共通するのはむしろ、管弦者であった俊頼の父経信にも言える、音に対する敏感さ、聴覚の鋭さであり、それは頼実が資通、定頼、敦貞親王ら音楽の才に恵まれた管紘者を周辺に持つ芸術性豊かな環境にあったことが大きいことを、かつて述べたことがある。……

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