著者
門田 誠一
出版者
佛教大学宗教文化ミュージアム
雑誌
佛教大学宗教文化ミュージアム研究紀要 (ISSN:13498444)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-44, 2017-03-30

魏志倭人伝には倭人社会の宗教的側面を示す記事があり、そのなかには卑弥呼の用いたという鬼道がある。鬼道に関しては、多くの言及があるが、本論では基本的な方法に立ち戻って、近来の中国における考古学的知見と中国史書・文献の用例と用法を参照し、『三国志』編纂時点での鬼道の認識を検討した。その結果、中国の鬼道としての五斗米道そのものかあるいは同時期に中国で展開した呪術的習俗をともなう信仰が実修されていた考古学的痕跡は顕著ではないが、伝統的な礼制による儒教的体制に対して鬼道の語が用いられていることから、鬼道が中華世界の礼俗とは相いれない祭祀習俗であり、とくに統治する者にとっては、自己の存立を否定するものとされていたという同時代的認識を示した。

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