著者
横山 香
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.46, pp.97-113, 2018-03

Frauenkrimiは、「女性による、女性についての、女性のための」推理小説と言われ、1990年代前後に女性作家の推理小説がドイツ語圏で流行した際にこの用語が定着したとされるが、その概念の定義は簡単ではない。ドイツのヴィースバーデン市が2000年から5年にわたり女性の作家に与えた賞「女性推理作家賞」 ("FrauenKrimiPreis") は、Frauenkrimiの概念とその褒賞の是非について、激しい議論を引き起こすことになった。この議論を整理すると、とくに女性作家が推理小説ジャンルにおける制度的なジェンダーの不均衡を感じているということ、Frauenkrimi が相反する傾向―フェミニズム的か、女性向けの通俗的なものか―で捉えられていることが明らかになった。本稿では Ingrid Noll と Charlotte Link という、現代のドイツを代表する Frauenkrimi の作家の作品を取り上げ、テクストそのもの傾向ではなく、その読まれ方と、そこで生み出される文化的意味が重要であることを指摘した。

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