著者
藤井 義久 FUJII Yoshihisa
出版者
岩手大学大学院教育学研究科
雑誌
岩手大学大学院教育学研究科研究年報 = Research Journal of the Iwate University Professional School for Teacher Education (ISSN:2432924X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.171-181, 2018-03-30

本研究の目的は、「被害者判断」でもある「第三者判断」でもある客観的な「いじめ判定基準」を策定することであった。調査対象者は、公立小学校に通う4年生から6年生の児童、計543名であった。 まず、小学生が「いじめ」と認知する可能性のある45個のスクールライフイベントを選定し、それぞれの出来事に対する「いじめ深刻得点」(精神的苦痛度+傷つき度)を求めた。次に、それら45個の「いじめ深刻得点」の平均値及び標準偏差を用いて、各スクールライフイベントの「いじめ深刻指数」を偏差値に換算することによって、相対的な精神的なダメージを示す「いじめ深刻指数」(略してBQ)を算出した。次に、過去1か月以内に経験したスクールライフイベントそれぞれのBQを単純に合算した値を目的変数、「うつ得点」を説明変数として回帰分析を行い、うつ得点のカットオフポイント16点をもとに、BQ合算値全体のカットオフポイントを求めたところ、205点という値を得た。つまり、過去1か月以内に経験したスクールライフイベントそれぞれのBQを合算した値が205点を超えると、現在、その子は危機的状況にあると判断される。 今後、本研究で算出されたスクールライフイベントごとの「いじめ深刻指数」によって、客観的な「いじめ認定」が可能になり、自治体間の「いじめ認知件数」のバラツキも縮小されることが期待される。

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