- 著者
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鶴田 武志
- 出版者
- 名古屋短期大学
- 雑誌
- 名古屋短期大学研究紀要 = Bulletin of Nagoya College (ISSN:0286777X)
- 巻号頁・発行日
- no.56, pp.225-243, 2018
松竹映画「彩り河」(1984)は、霧プロが製作した最後の映画である。前年に公開された「迷走地図」(1983)におて、霧プロの双璧である原作者、松本清張と松竹側の筆頭、野村芳太郎との間に決定的亀裂が起こったこともあり、「彩り河」はその煽りを受けた失敗作とされてきた。しかし、ここには1980年代の松本清張の作風の変化と松竹映画との相性の悪さなど、小説を商業映画にしていくプロセスにおける構造的欠陥が「彩り河」自体で顕在化してきたからに他ならない。本論では、その観点から今までなされてこなかった原作「彩り河」の表現構造分析、映画製作の過程を検証することで、作品がメディアを越境する際に起きる諸相、清張自身の自作映像化への目論見などを炙り出す。