著者
佐々木 陽子
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-14, 2016-07-01

日本とメキシコとは14時間もの時差があり遠く離れている。しかし、死者に飲食物を供える習俗を共有している。西欧の献花台にあるのは、ろうそくと花のみで、西欧の合理主義的見地からは「死者は食べない」と言われる。日本では、死してものどが渇き飢える死者・像が受容される。日本のお盆では今もって一部の地域では墓前飲食が行われている。メキシコの11月1日・2日の「死者の日」は、お盆同様に死霊を墓で歓待し飲食物で迎える。日本では迎え火をたいて霊魂が迷わないようにと、メキシコではオレンジ色のマリーゴールドの花びらを墓から家路までまいて死霊が迷わずに到着できるように配慮され、死者は家人に招き入れられる。日本との類似性を見出しつつも、メキシコではガイコツのお菓子・おもちゃが充満し、「死を笑う心性」「死しての平等」の譜誰と歪んだ平等性は、メキシコの歴史と深い死生観に根差していることを考えさせられる。

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