著者
湯本 弘子
出版者
農業技術研究機構花き研究所
雑誌
花き研究所研究報告 (ISSN:13472917)
巻号頁・発行日
no.9, pp.91-135, 2009-12

トルコギキョウはアメリカ合衆国西南部からメキシコにかけての石灰岩地帯の草原に広く自生している。日本には1935年頃に導入され、当時は東京の玉川温室村で栽培されていた。種子が微細で育苗が難しかったことなどから、長い間注目されることがなかったが、1963年に(株)福花園種苗から'紫盃'という名前が付いた品種が初めて販売された。1972年に田島一木により'くろひげ'という品種が作出された。これは高性で草姿のよい濃紫色の花色の品種であり、その切り花は市場評価が極めて高く、トルコギキョウの需要を拡大することに貢献した。1975年から桃色、白色を含めた多くの品種が種苗会社および民間育種家から発表され始めた。1982年に(株)サカタのタネから販売された'峰シリーズ'はトルコギキョウ最初のF1品種シリーズであった。F1品種は開花期のそろい、草姿、草勢の均一性がよく、これより育種の主体が固定種主体の民間育種から種苗会社によるF1育種へと移行していくこととなった。1985年から1989年にかけて、花弁の端が着色する覆輪品種、八重出現率100%のF1品種が発表された。1990年以降に黄色系、緑色系品種、秋切り用の中・晩生品種、鉢物用の矮性品種が育成された。このようにわずか数十年で、様々な花色、大輪から極小輪まで幅のある花径、極早生から晩生までの開花特性を有する数多くの品種が育成され、現在では500を越える品種が市場流通している。また、世界に先駆けて日本で品種改良が著しく進んだことにより、現在品種開発の面で世界市場をリードしている。本研究はトルコギキョウの花持ちに関わる諸要因を明らかにし、花持ち延長に効果的な品質保持方法を開発することを目的として行った。

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