著者
曽根 一純 望月 龍也 野口 裕司
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
雑誌
野菜茶業研究所研究報告 (ISSN:13466984)
巻号頁・発行日
no.1, pp.241-254, 2002-03
被引用文献数
2

イチゴの日本品種84点と外国品種81点を用い,1995,1996年の2年間にわたり促成作型と露地作型で糖・有機酸の含量とそれらの組成を調査し,品種間並びに育成地および育成年代による差異について検討した。さらに,糖および有機酸の組成別含量間の相関関係およびそれらの遺伝力を明らかにした。1)供試した165品種の全糖含量(スクロース+フルクトース+グルコース)は21.5~96.6mg/gFWの範囲に分布し,平均含量は48.8mg/gFWであった。日本品種は外国品種に比べ有意に高かった。グルコース含量(Glu含量)の全糖含量に占める割合は17.7~41.5%の範囲に,フルクトース含量(Fru含量)の全糖含量に占める割合は23.1~57.4%の範囲に分布した。ともに,日本品種は外国品種に比べて有意に低く,また日本品種のうち1981年以降に育成された品種は,それ以前の品種よりも有意に低かった。一方,スクロース含量(Suc含量)の全糖含量に占める割合は7.7~58.8%の範囲に分布し,品種間差異が大きかった。日本品種のうち1981年以降に育成された品種は,それ以前に育成された品種と比較して有意に高かった。2)供試した165品種の全酸含量(クエン酸+リンゴ酸)は5.3~18.7mg/gFWの範囲に分布し,平均含量は10.7mg/gFWであった。リンゴ酸含量が全酸含量に占める割合(Mal比率)は4.8~45.8%と品種間差異が大きく,平均値は20.0%であった。 全酸含量の平均値は日本品種が外国品種と比べ有意に低く,Mal比率には日本品種および外国品種の間に大きな差異はなかった。 3)糖・有機酸の含量・組成について主成分分析を行った結果,第1主成分はSuc含量,第2主成分ではGlu+Fru含量,第3主成分はMal比率を表すと考えられ,第3主成分までの累積寄与率は97.7%であった。また,第1・第2主成分のスコア散布図では,日本品種と外国品種との間で分布域に明確な違いがみられ,日本品種は第1主成分について外国品種より正の側に多くが分布した。さらに日本品種では,1981年以降に育成された品種はそれ以前に育成された品種と比較して,より第2主成分の正側に分布した。このことは,日本品種は外国品種に比べて,全糖含量およびSuc含量の高い品種が多く,また近年ではSuc比率を高める方向に育種が進んできたことを示すものと考えられる。4)糖および有機酸の組成比率は,いずれも高い広義の遺伝力を示したことから,比較的改良しやすい形質であると考えられた。これらの形質の改良に当たっては,育種初期段階で選抜圧を加えることにより,効率的な選抜が可能であると考えられた。

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こんな論文どうですか? イチゴにおける果実中の糖および有機産の組成別含量の品種間差異および遺伝力(曽根 一純ほか),2002 https://t.co/1g1HUi76F1 イチゴの日本品種84点と外国品種81点を用い,1995,1996年の2年間…
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