著者
松本 亮司 山本 雅史 國賀 武 吉岡 照高 三谷 宣仁 奥代 直巳 山田 彬雄 浅田 謙介 池宮 秀和 吉永 勝一 内原 茂 生山 巖 村田 広野
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
雑誌
果樹研究所研究報告 = Bulletin of the National Institute of Fruit Tree Science (ISSN:13473549)
巻号頁・発行日
no.2, pp.25-31, 2003-03

1. 1984年に果樹試験場口之津支場において,'口之津37号'('清見×アンコールNo. 2')に'マーコット'を交雑し育成された交雑品種である。2. カンキツ'口之津19号'の系統名でカンキツ第7回系統適応性・特性検定試験で検討され,1998年8月21日に'せとか'と命名され'タンゴール農林8号'として登録・公表された。なお種苗法に基づき,登録番号第9398号として2001年10月18日付けで品種登録された。3. 樹勢は中~やや弱で,樹姿は中~開張性である。そうか病・かいよう病に対する抵抗性は強い。豊産性で連年結果し,栽培性に優れる。4. 果実の大きさは200~280g位で大果である。果形は扁円形である。果皮は橙~濃橙色で厚さは薄く,剥皮は中~容易である。果面は平滑であるが油胞が目立つ。中位のマーコット香がある。果肉は橙色で,じょうのう膜が極めて薄く,肉質は柔軟・多汁である。熟期は2月で濃厚な食味になる。果汁糖度は12~13程度,クエン酸含量は適熟期に0.8~1.2g/100mlになる。雄性不稔性で単為結果性が強く,果実は通常,無核である。5. 'せとか'の成熟期は2月の厳寒期であることから,果実が樹上で越冬できる温暖なカンキツ栽培地帯,あるいは施設栽培に適する。また樹勢がやや弱いため,適正着果に留意し,肥培管理を徹底することにより,樹勢の維持・強化を図る必要がある。

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