著者
金沢 裕之 Hiroyuki KANAZAWA
出版者
国立国語研究所
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
no.1, pp.105-113, 1997-04

岡山大学動詞の否定の連用中止法は,一般には,「~(せ)ず,…」の形が正しく,助動詞「ない」を使った「~(し)なく,…」の形は規範的でないとされている。しかし近年,一部の用例にではあるが,この形式が認められ,それらの用例を観察してみると,先行する動詞句,あるいは「動詞+ない」全体が状態的な意味を表す場合に多く用いられていることがわかった。大学生に対するアンケート調査でも,この観察の妥当性が概ね確認された。この現象を通時的変化の流れから考えると,否定の助動詞における「ず」から「ない」への移行が最終的な段階を迎えようとしていることの予兆として捉えられる可能性がある。

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「~していなく」という言い方に違和感を抱く人もいるから公式の場では使用を控えた方が良いと発言したら、ゼミの2年生にはまったく共感を得られなかった。若い人の間では完全に市民権を得ている模様。 「助動詞「ない」の連用中止法について」 https://t.co/yZy4HpLQc5

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