著者
島 義夫
雑誌
玉川大学経営学部紀要
巻号頁・発行日
no.30, pp.17-33, 2019-03-20

金融リテラシー向上の必要性が指摘されるが多くの個人にとり金融学習のハードルは高い。効果的金融教育を考えるなら,教育を受ける側の金融に関わる心理的動機を探索してそれを利用することを考えるべきだ。本研究では,大学生156人に対して質問調査と金融リテラシーを測る金融テストを実施し,その結果を多変量解析で心理学的に分析した。データや分析手法には限界があり断定的な判断まではいかないが,知的好奇心や計画志向をはじめとするいくつかの心理的傾向や特徴とそれらの組み合わせが金融リテラシーに結びつきそうなことがわかった。その一方で家庭の影響は必ずしも金融リテラシーに結びつかないようだ。金融教育は心理的タイプ別にいくつかメニューを用意した方が良いかもしれない。また,男女の金融に関わる心理的動機には大きな違いがあることがわかり,そのことが女子の金融リテラシーに不利に働く可能性があることがわかった。

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