- 著者
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瀬戸 裕之
- 出版者
- 新潟国際情報大学国際学部
- 雑誌
- 新潟国際情報大学国際学部紀要 = NUIS journal of intenational studies (ISSN:21895864)
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.21-42, 2019-04
本論文は,フイ・ポンセーナー博士のライフヒストリーをもとに,ラオス司法省元高官の経験からラオスの現代史について考察する。フイは,青年期にフランスに留学し,ラオス王国政府軍人としての経歴を積み,1975 年以降には再教育キャンプで生活する苦難を経験した。しかし,現体制が刷新政策を開始すると,司法省官房長に任命され,国際機関や西側諸国から法整備に関する支援を誘致し,プロジェクト管理を担当するなど現体制での国家建設にも貢献した。フイの経験から,1975 年以前のラオスの国家形成におけるフランスの影響力の大きさ,革命以前のラオス王国政府軍人が抱えていた困難,現体制の成立後の旧ラオス王国政府元軍人・元役人の不遇,並びに旧ラオス王国政府の元軍人・元職員が1980 年末以降にラオスが西側諸国との交流を深める過程で国家建設に貢献した可能性を示し,現体制下で旧ラオス王国政府の元職員たちが果たした役割について,再評価が必要であることを指摘する。