- 著者
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五十嵐 由香
- 出版者
- 東洋大学人間科学総合研究所
- 雑誌
- 東洋大学人間科学総合研究所紀要 (ISSN:13492276)
- 巻号頁・発行日
- no.21, pp.213-223, 2019-03
Upon release, a comedy film presenting Adolf Hitler in the leading role, Look Who's Back (Er ist wieder da, dir. David Wnendt, 2015), caused a worldwide sensation. The idea of featuring Hitler as a comic figure is immediately associated with Charles Chaplin's The Great Dictator (1940) produced during the World WarⅡ.While Hitler is the object of laughter, it appears that the comedic effect is induced more by the settings of each film. The goal of this paper is to examine the representation of Hitler in each film created in different periods in modern history and compare the ways in which they induce laughter.2015年にデヴィッド・ヴェンドが製作したドイツ映画『帰って来たヒトラー』は、タブー視されてきたヒトラーを喜劇映画の主人公にしたことにより、世界中で話題となった。この映画のワンカットにも挿入されているのだが、ヒトラーそっくりに、ドイツ語もどきの言葉を使って演説をする喜劇映画といえば、1940年のチャップリンの『独裁者』がすぐに思い浮かぶ。『独裁者』もまた、当時全盛期のヒトラーを扱った喜劇映画ということで公開前から話題となっていた。戦時と戦後という時代を隔てたこの二つの映画において、独裁者ヒトラーはどのように表象されているだろうか。本稿では、独裁者に対して起こる笑いが、映画に内在する二つの背景のコントラストから生じていることをそれぞれの映画の中に探りだし、笑いの中に見えてくる独裁者の表象を比較する。