- 著者
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浅川 友幸
- 出版者
- 東洋大学人間科学総合研究所
- 雑誌
- 東洋大学人間科学総合研究所紀要 (ISSN:13492276)
- 巻号頁・発行日
- no.21, pp.27-43, 2019-03
ジャイ・ギャツビーの「オールド・スポート」は、単なる呼びかけの言葉ではない。ギャツビーは、作品中42回「オールド・スポート」を発するが、その言葉はギャツビーの4 つの側面を反映している。(1)友愛、(2)俗物根性、(3)嘲笑、(4)敗北。「オールド・スポート」を通じて、ギャツビーのニックとトムに対する感情、その言葉を発するギャツビーの望む姿が伝わってくる。そしてその言葉は周囲の人間にとって嘲笑の的であり、そしてトムにとってはニューマニーを象徴するもので、彼が憎み恐れるものである。ギャツビーは夢を追いかけ、現実に直面し、そして元恋人のために死ぬ。そのような彼の生き方が繰り返される彼の「オールド・スポート」に凝縮されている。『グレート・ギャツビー』における「オールド・スポート」は、ギャツビーを理解する上で重要なフレーズである。