著者
田村 英恵 吉田 加代子
出版者
立正大学心理臨床センター
雑誌
立正大学臨床心理学研究 (ISSN:21883017)
巻号頁・発行日
no.17, pp.13-22, 2019-03-31

本研究では,夢想起とイメージ及び心的境界の関連について検討することを目的とした。イメージ想起に関わる特性として鮮明性と統御性,心的境界として境界の脆さと曖昧さ,夢想起に関わる側面として頻度,鮮明性,内容,感覚モダリティを取り上げた。 大学生にQuestionnaire upon Mental Imagery の短縮版(QMI;Sheehan, 1967),Test ofVisual Imagery Control(TVIC;Gordon, 1949),日本語版境界尺度(JBQ;児玉,2013),夢想起に関する尺度(岡田,2000)を実施し,全ての項目に回答が得られた198名のデータを分析対象とした。境界尺度に関しては,「境界の脆さ」と「意識された境界の曖昧さ」について7 項目ずつ抽出したため,因子分析を行った。結果,因子1 「意識された境界の曖昧さ」6 項目,因子2 「境界の脆さ」4 項目,計10項目を以降の分析に用いた。 分析の結果,夢想起の鮮明性はイメージの鮮明性(QMI)及び心的境界と有意な正の相関が認められた。同様に,イメージの鮮明性(QMI)はイメージの統御性(TVIC)及び心的境界と有意な正の相関が認められた。また,イメージの鮮明性の高群が低群に比べて夢想起の鮮明性が有意に高いことが示された。したがってイメージと心的境界及び夢想起の関連性,なかでも夢想起の鮮明性とイメージの鮮明性,心的境界の関連性が示唆された。

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