- 著者
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岡崎 勝世
- 出版者
- 埼玉大学教養学部
- 雑誌
- 埼玉大学紀要. 教養学部 (ISSN:1349824X)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.1, pp.33-49, 2019
「昭和12年要目」の時代(1937、昭和12~1943、昭和18)はまた本格的ファシズムの時代、日中戦争開始からアジア・太平洋戦争前半の時代にあたり、歴史教育も皇国史観とそれに基づく国家主義的な「國民道徳」の注入を目指すものとなった。歴史教科書と授業の内容を細部に至るまで指定し、さらに「五種選定」を強行して教科書の種類数を削減するなど、国家統制が強化された。東洋史の比重が高まりイスラム地域の記述が顧みられたり考古学的記述も現れたが、他方、元寇の記述では「神風」の語が出現し、「倭寇」の語の削除なども行われた。また欧米諸国は学ぶべき対象ではなくなり、西洋史も西欧諸国のアジア侵略の批判を重視し、革命や国民性の批判的記述等を通じて「日本國民ノ自覚ヲ啓培」することのほうに重点が置かれ、その地位が低下して記述の簡略化が行われた。はじめに第一章 三分科制確立期に於ける世界史教育 (1902、明治 35~1931、昭和 6)第一節 明治後期の世界史教育 (1902、明治 35~1911、明治 44)1.教育・研究体制に於ける三分科制の確立2.「中學校教授要目」(明治 35)と教科書3.世界史の試み(1) ―「世界史」の登場 ―第二節 大正デモクラシー期の世界史教育(1911、明治 44~1931、昭和 6)1.「中學校教授要目」 (明治 44)と教科書2.世界史の試み(2) ― 齋藤斐章の場合 ― (以上、第 53 巻 第 2 号)第二章 「ファシズム期」における世界史教育(1931、昭和 6~1945、昭和 20)第一節 昭和初期(戦前期)の世界史教育 ― 昭和 6 年の「中學校教授要目」と教科書 ―(1931、昭和 6~1937、昭和 12) (以上、第 54 巻 第 2 号)第二節 大戦期の世界史教育(1937、昭和 12~1945、昭和 20)1.「中學校教科教授及修練指導要目」(昭和 12)と教科書 (以上、本号)2.国定教科書の時代3.マルクス主義の浸透おわりに