- 著者
-
星野 三喜夫
- 出版者
- 新潟産業大学経済学部
- 雑誌
- 新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
- 巻号頁・発行日
- no.54, pp.47-62, 2019-10
ベトナムは9,600万人の人口を擁し、平均年齢も31歳と若く、ポテンシャルの高い国である。成長が鈍化傾向にあるアジア諸国・地域の中で高い経済成長を続けている。またその地理的な優位性と魅力ある投資環境から、世界各国・地域の有力企業が豊富な労働力と安価な人件費を求めて生産拠点をベトナムにシフトさせている。ベトナム経済の好調要因は、このような豊かで若い労働力と活況な国内消費、TPP加盟や全方位外交による外国資本の呼び込み、理数系教育施策等に求められる。一方、同国国営企業の改革は実質的に進んでおらず、TPP発効を受け喫緊の課題となっている。他方、ベトナムの投資環境の魅力度の高さは企業アンケート調査からも明らかで、現地マーケットの今後の成長性や安価な労働力、優秀な人材等に有望理由が求められる。投資インセンティブとして税制優遇措置等も導入されており、大型案件を含め外国からの投資は着実に増加している。更なる外国投資誘因に向けた課題として、労働コストの上昇、法制運用の不透明性、管理職クラスの人材確保難、インフラ未整備等が挙げられ、今後これらの改善が望まれる。