著者
鹿嶌 達哉
出版者
広島国際大学総合教育センター
雑誌
広島国際大学総合教育センター紀要 (ISSN:24322881)
巻号頁・発行日
no.4, pp.35-53, 2020-02

論文要旨:ホームレス問題では本人の責任を重視する「よくある素朴な見方」と種々の社会問題を重視する「支援者側の見方」が対立することが多い。大学生が支援者の講演を聞く前後の見方を調べ、その変化と上記2つの見方との対応性を検討した。さらに、2018年に告示された教科「道徳」とホームレス問題との関連を考察した。野宿者襲撃(いじめとの同型性が指摘されている)、ホームレス生活者に対する偏見と差別等は、本来道徳教育が解決すべき問題であるが、今回の改訂では自主・自律、節度、遵法精神・公徳心、社会正義、社会参画・公共の精神、勤労、家庭生活の充実、集団生活の充実等を重視するあまり、ホームレス生活(者)を否定・排除する背景・理由づけとなる危険性がある。「あるべき姿」を教える道徳教育に対して、現実の悪(人・社会・私の中にある)への向き合い方を示した発達的モラルレジリエンスモデルの道徳教育における可能性も併せて考察した。

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