著者
三宅 雄彦 ミヤケ ユウヒコ Miyake Yuuhiko
出版者
駒澤大学法学部
雑誌
駒澤法学 (ISSN:13476599)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.25-68, 2020-03

2010年から12年に世界経済を揺るがしたいわゆるユーロ危機、それへの、欧州連合、欧州中央銀行などによる対応は多岐に渡った。その際、EU及び共通通貨ユーロ加盟国にして欧州政治をリードするドイツが、莫大な財政出動を嫌い、更にはその連邦憲法裁判所が、その違憲審査で迅速な危機対応を「妨害」したことも記憶に新しい。危機の第1次から第3次まで、様々な対応策に多くの判決が下され、EU法に関心を寄せるわが国でもそれらは詳細に検討されたものの、全体像のみならず、憲法上の各種論点の錯綜も見落とし勝ちである。本稿では、ユーロ危機とそれへの対応、及び連邦憲法裁の諸判決を時系列で整理しつつ、ドイツ基本法とEU第1次法、及び第2次法という二種類の関係に着目しながら、ユーロ危機で基本法上の如何なる問いが議論されたのか、その問題に連邦憲法裁判所が如何なる判断を下したのかを検討し、もって判例法理の概観の獲得を目指す。

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