著者
飯島 滋明
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1-15, 2020

日米安保条約では,「日本国の安全に寄与」するためにアメリカ軍が日本に駐留することになっている(6条)。しかしアメリカ軍人は日本で戦闘機を手放しで操縦していたり,オスプレイなどの訓練ではデッキをあけて住宅地に向けて銃を構えている。アメリカ軍による墜落事故・落下事故・不時着は日常茶飯事である。「未亡人製造機」と言われるほど「墜落事故」が多いオスプレイは日本全土を飛び回っている。横須賀基地では日本との約束を守らずに放射能にさらされた物質の搬出をおこなっている。こうした米軍の行動により,「戦争や軍隊によって自己の生命を奪われない権利,あるいはそれらによって生命や身体が危険にさらされない権利」である「平和的生存権」が奪われ,脅かされている。 また,在日アメリカ軍人などによる犯罪について,日本の法で裁くことができず,民事上の賠償も支払わせることができない。アメリカ政府が肩代わりすることもほとんどなく,アメリカ軍人が払うべき賠償金を日本政府が支払っている。アメリカ原子力空母の放射性物質搬出の事例や日本人警備員の「銃携帯」の個所でも紹介したように,アメリカは日本の法令,あるいは日本との約束を守らない。日本は「主権国家」とは言えない状況にある。

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