著者
岡田 東彦 太田 素良 木村 優樹 高木 龍太 林 美穂 松倉 未侑 浅川 満彦
出版者
北海道獣医師会
雑誌
北海道獣医師会雑誌
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.375-378, 2020-12

2020年9月上旬に道内S公園で発見されたハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)とハシボソガラス(Corvus corone)計12個体の死体について、剖検および病原体保有状況の検査を実施した。鳥インフルエンザウイルスおよびウエストナイル熱ウイルスの簡易検査を実施したところ、いずれも陰性を確認したが、数種の内外寄生虫を得た。多くの個体で黄褐色に染まった消化管内容物・粘液・吐瀉物等が認められ、頭蓋内出血、気管・腸管の黒変等が認められたことから、薬物中毒が疑われた。吐瀉物等を科学捜査研究所に化学成分の検査を委託したところ、有機リン剤シアノホス(CYAP)の成分が検出された。国内での先行事例と比較して、本事案はCYAP中毒の所見と類似したことから、この物質の急性中毒であることが示唆された。

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