著者
佐々木 瑞希 石名坂 豪 能勢 峰 浅川 満彦 中尾 稔
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.123-126, 2019-09-25 (Released:2019-11-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2

2015年9月北海道斜里町で捕獲されたエゾヒグマを剖検したところ小腸より大型の条虫を検出した。頭節の形態および生殖器の配置から,Dibothriocephalus属と思われた。虫体の一部からDNAを抽出し,核28S ribosomal RNA geneおよびミトコンドリアcytochrome c oxidase geneの一部を解析した。その結果,DNAデータベース上の日本海裂頭条虫のものとほぼ一致し,本種を日本海裂頭条虫と同定した。本症例は,エゾヒグマから検出された条虫を日本海裂頭条虫と同定した初めての報告である。
著者
吉野 智生 山田(加藤) 智子 石田 守雄 長 雄一 遠藤 大二 浅川 満彦
出版者
北海道獣医師会
雑誌
北海道獣医師会雑誌 = Journal of the Hokkaido Veterinary Medical Association (ISSN:00183385)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.238-241, 2010-06

2005年から2010年にかけ、苫小牧市および別海町で発見されたオオハクチョウ3例について、酪農学園大学野生動物医学センターで剖検を行った。3例とも栄養状態は良好であり、外傷や外貌の汚れは認めなかった。内部所見としては暗赤色流動性の血液、心臓周辺を主とした各臓器および血管の鬱血、口腔および気管粘膜の溢血点、水・唾液などの液状成分により著しく膨化した食パンによる喉頭部閉塞が共通所見として認められた。喉頭閉塞では神経系の反射的心停止が知られることから、このような現象も今回の死因の一部と推察された。
著者
佐々木 瑞希 石名坂 豪 能勢 峰 浅川 満彦 中尾 稔
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.123-126, 2019

2015年9月北海道斜里町で捕獲されたエゾヒグマを剖検したところ小腸より大型の条虫を検出した。頭節の形態および生殖器の配置から,Dibothriocephalus属と思われた。虫体の一部からDNAを抽出し,核28S ribosomal RNA geneおよびミトコンドリア cytochrome c oxidase geneの一部を解析した。その結果,DNAデータベース上の日本海裂頭条虫のものとほぼ一致し,本種を日本海裂頭条虫と同定した。本症例は,エゾヒグマから検出された条虫を日本海裂頭条虫と同定した初めての報告である。
著者
吉識 綾子 的場 洋平 浅川 満彦 高橋 樹史 中野 良宣 菊池 直哉
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.100-105, 2011-12-20 (Released:2012-03-23)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

北海道では野生化したアライグマが増加しているが,アライグマにおけるレプトスピラ症の浸潤状況は十分に知られていない。今回,北海道中央部で捕獲されたアライグマについてレプトスピラの浸潤調査を行った。捕獲されたアライグマ259頭中10頭(3.9%)からレプトスピラが分離された。肝臓2例(0.8%),腎臓9例(3.5%),尿1例(0.4%)からレプトスピラが分離された。PCR法により60頭(23.2%)からレプトスピラDNAが検出された。肝臓26例(10%),腎臓33例(12.7%),尿28例(10.8%)からレプトスピラDNAが検出された。11種の血清型のレプトスピラを用いて顕微鏡学的凝集反応(MAT)を行った。255頭中63頭(24.5%)でいずれかの血清型に対しての抗体が確認された。その中でもAutumnalisに対して高く,10%以上の陽性率を示した。PCRおよび抗体調査の結果,幼獣よりも成獣のほうが,また地域的には胆振地方の陽性率が高かった。以上の結果から,今回捕獲した北海道のアライグマにはレプトスピラが広く浸潤していることが明らかになった。アライグマは急増し,人,犬,家畜などとの接触の機会も増えてきている。したがって,アライグマからの人,犬,家畜へのレプトスピラ感染の可能性が危惧された。
著者
近藤 達成 浅川 満彦
出版者
北海道獣医師会
雑誌
北海道獣医師会雑誌
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.15-17, 2015-07-10
著者
高田 雄三 的場 洋平 浅川 満彦
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.163-175, 2007 (Released:2017-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1

輸送技術の発展や生活の豊かさの向上などから移入し野生化した生物, すなわち移入種が近年問題となっている. 移入種による経済被害や生態系の撹乱, 感染症媒介による健康被害への懸念が深刻化するなか, 全国レベルでの移入種問題に対する調査と対策が進められている. その一環としてアライグマのDNA分析による捕獲個体調査が実施されている. 現在まで12道府県で約4,000個体のサンプルからミトコンドリアDNA多型を決定し, 母系の動態調査を行ってきた. さらに, 移入種の起源や詳細な動態調査を行うためMHC遺伝子分析より得られた結果は, 遺伝的多様性, 個体群の遺伝的独立性や遺伝子流動の評価を可能とした. このことはMHCがアライグマの捕獲駆除や遺伝的保全, 生態系保全において有効利用できるアイテムであるといえる. 「はじめに」輸送技術の発展や生活の豊かさの向上などから, 生物の国内外への移動が活発化している. 生物は自己の能力を超えて本来生息していなかった地域へ生物の意志に関わらず人為的に導入されている.
著者
佐鹿 万里子 森田 達志 的場 洋平 岡本 実 谷山 弘行 猪熊 壽 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 = Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.125-128, 2009-10

An immature male raccoon (Procyon loter) with severe mange was captured at Kita-Hiroshima City, Hokkaido, Japan, on February 2005. The severe alopecia and crusting lesion were found on dorsal side of the raccoon, and mites obtained from the lesion were identified as Sarcoptes scabiei by both morphological and molecular biological methods (2nd internal transcribed spacer: ITS-2). The present case is the first record of mange caused by S. scabiei from free ranging raccoons in Japan. 2005年2月,北海道北広島市にて腰部から尾部にかけ著しい脱毛と痂皮を形成したアライグマProcyon lotor雄幼獣一個体が捕獲され,当該病変部から多数の小型ダニ類が検出された。形態および 2nd internal transcribed spacer (ITS-2)の塩基配列から,これらのダニ類はSarcoptes scabieiと同定された。本症例は日本産アライグマのS. scabieiによる疥癬の初報告となった。
著者
吉識 綾子 的場 洋平 浅川 満彦 高橋 樹史 中野 良宣 菊池 直哉
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.100-105, 2011
被引用文献数
2

北海道では野生化したアライグマが増加しているが,アライグマにおけるレプトスピラ症の浸潤状況は十分に知られていない。今回,北海道中央部で捕獲されたアライグマについてレプトスピラの浸潤調査を行った。<BR>捕獲されたアライグマ259頭中10頭(3.9%)からレプトスピラが分離された。肝臓2例(0.8%),腎臓9例(3.5%),尿1例(0.4%)からレプトスピラが分離された。PCR法により60頭(23.2%)からレプトスピラDNAが検出された。肝臓26例(10%),腎臓33例(12.7%),尿28例(10.8%)からレプトスピラDNAが検出された。11種の血清型のレプトスピラを用いて顕微鏡学的凝集反応(MAT)を行った。255頭中63頭(24.5%)でいずれかの血清型に対しての抗体が確認された。その中でもAutumnalisに対して高く,10%以上の陽性率を示した。PCRおよび抗体調査の結果,幼獣よりも成獣のほうが,また地域的には胆振地方の陽性率が高かった。<BR>以上の結果から,今回捕獲した北海道のアライグマにはレプトスピラが広く浸潤していることが明らかになった。アライグマは急増し,人,犬,家畜などとの接触の機会も増えてきている。したがって,アライグマからの人,犬,家畜へのレプトスピラ感染の可能性が危惧された。
著者
平山 琢朗 牛山 喜偉 長 雄一 浅川 満彦
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.V1-V13, 2014 (Released:2014-05-02)
参考文献数
101

日本で記録された野鳥の感染症・寄生虫病の病原体を体系的に理解することは、保全施策においても重要なツールの一つである.そこでこの総説では、ウイルス、細菌、真菌および原生生物性の病原体の記録情報についてまとめ、それらによる実際の疾病発生を回避する方策について簡単に論述した.
著者
石田 綾 岩尾 一 樋上 正美 阿部 愼太郎 小林 頼太 浅川 満彦
出版者
日本生物地理学会会報
雑誌
日本生物地理學會會報 = Bulletin of the Bio-geographical Society of Japan (ISSN:00678716)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.1-6, 2011-12-20
参考文献数
25
被引用文献数
2

The present survey was conducted on internal parasites of 2 alien turtle species, namely Trachemys scripta (18 individuals) [host abbreviation: Ts] and Chelydra serpentina (3 individuals) [Cs] in Japan. Two nematode species including Serpinema microcephalus [Ts] and Falcaustra sp. cf. falcata [Ts, Cs]), a trematode of Telorchis geoclemmydis [Ts, Cs]) and a protozoan genus including several species of Eimeria [Ts] were obtained from the present samples. They are new host records in Japan.
著者
髙木 龍太 鈴木 夏海 入野 浩之 伊藤 このみ 伊東 隆臣 浅川 満彦
出版者
日本獣医寄生虫学会
雑誌
獣医寄生虫学会誌 (ISSN:1347961X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.50-52, 2020

四国沖で捕獲され、高知県土佐清水市に所在する大阪・海遊館以布利センターの飼育プールで約11カ月間飼育されたジンベエザメRhincodon typus Smith, 1828の口腔壁から、ハナガタムシAnthosoma crassum (Abildgaard, 1794)(カイアシ亜綱ツツウオジラミ科Dichelesthiidae)に類似した雄成体1個体が見出された。種同定には形態の精査が必要であり、今後の課題となる。今回の報告により、日本産ジンベエザメからは計4種の甲殻類が記録されたことになった。
著者
小林 朋子 鳥居 春己 川渕 貴子 辻 正義 谷山 弘行 遠藤 大二 板垣 匡 浅川 満彦
出版者
奈良教育大学自然環境教育センター
雑誌
奈良教育大学自然環境教育センター紀要 (ISSN:21887187)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-8, 2011-03-01

2005年と2006年に奈良公園およびその周辺地域に生息する天然記念物ニホンジカ(Cervus nippn,以後,シカとする)における,人獣共通寄生虫の感染状況,感染個体の栄養状態に関する調査を実施した.奈良公園内のシカ15頭の第四胃から結腸までの消化管内寄生蠕虫検査では,日本の他地域に生息するシカから得られた寄生虫と同属種が検出された.また,奈良公園内において40頭のシカの排泄直後に採取した糞における吸虫卵調査では,87.5%の個体から肝蛭卵が検出された.また,14頭のシカの剖検において肝蛭の虫体が見つかった8頭の病理学的検査と寄生状況の調査では,肝臓表面に赤紫の小斑点あるいは蛇行状の病巣などが観察され,割面では胆管の拡張,壁の肥厚がみられた.得られた肝蛭のNADH脱水素酵素サブユニット遺伝子(ND1)およびチトクロームcオキシダーゼサブユニットI遺伝子(COⅠ)の配列はFasciola hepaticaと97%(ND1)と99%(COⅠ)一致し,F.giganticaと95%(ND1)と100%(COⅠ)一致した.1976年の調査でも奈良公園の肝蛭による汚染が指摘されていたが,シカ個体数が約300頭増加した今日も大幅な寄生率の変化はなく高度な汚染が維持されていることが明らかとなった.シカから排泄された肝蛭虫卵はメタセルカリアとなり,ヒトや家畜への感染源になり得ることをふまえて,早急に充分な対策を講じる必要があろう.
著者
吉野 智生 浅川 満彦
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.193-196, 2022-10-24 (Released:2022-10-31)
参考文献数
22

2010年9月,北海道岩見沢市にて,アカエリヒレアシシギ Phalaropus lobatus が集団で死亡しているのが見つけられた.栄養状態は良好で,剖検所見から何らかの衝突事故であることが示唆された.
著者
高木 佑基 浅川 満彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-36, 2016-03-25 (Released:2016-09-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Pentastomid parasites belonging to the genus Raillietiella were obtained from the captive reptiles Gekko gecko and Trachydosaurus rugosus at a zoo in northern Japan in April 2013. This was the first locality record of Raillietiella gehyrae and R. scincoides in Japan.
著者
浅川 満彦
出版者
酪農学園大学
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.25-41, 2007 (Released:2011-01-19)

2004年から(社)日本野生動物医学会が私立大学学術研究高度化推進事業「環境汚染物質・感染症病原体分析監視システムの開発研究」関連施設である酪農学園大学野生動物医学センター(WAMC)に委嘱されてた野外疫学実習サマー・ショート・コースSSCの概要紹介をし、今後の展望を論じた。