- 著者
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長谷川 由香
- 出版者
- 佛教大学保健医療技術学部
- 雑誌
- 保健医療技術学部論集 (ISSN:18813259)
- 巻号頁・発行日
- no.15, pp.45-54, 2021-03-01
本論文では,特別支援学校における「医療的ケア」の法制化の過程をまとめ,教員・看護師の役割がどのように変化したかを整理し,両者の役割をめぐる今後の課題を検討した.政府は特別支援学校において,2004年モデル事業当初は,教員がたんの吸引等を実施することは,一定の条件の下ではやむを得ないとしていたが,2011年の特定行為の法制化以降,教員は看護師と連携し,積極的にたんの吸引等を実施することを求めている.一方,看護師は,モデル事業当初は,教員と連携してたんの吸引等を中心とした「医療的ケア」を実施していたが,2016年,医療的ケア児の支援の法制化により,人工呼吸器装着中の児童・生徒の対応も保護者から看護師へと移行が進められている.この10数年の間に特別支援学校における「医療的ケア」をめぐる教員や看護師の役割は,急激に変化している.教員や看護師をはじめとする多職種との協働や教員・看護師の教育のあり方が喫緊の課題である.特別支援学校医療的ケア法制化教員看護師