- 著者
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彭 永成
- 出版者
- 京都大学大学院教育学研究科
- 雑誌
- 京都大学大学院教育学研究科紀要
- 巻号頁・発行日
- no.67, pp.29-42, 2021-03-25
本稿は雑誌『ゼクシィ』の九州版の歴史変遷を中心に、結婚情報誌における地方色の表し方と衰退の過程について検討するものである。「九州ゼクシィ」を分析した結果、創刊初期の誌面上では、地方の結婚事情の特色が読み取れた。たが、『ゼクシィ 首都圏』が表紙、目次、記事、付録という順に「九州ゼクシィ」の内容を同化していくうちに、誌上に表した地方色が徐々に消えていき、誌上で見られる結婚理想像も首都圏版とほぼ変わらないものになった。同時期、福岡発の地元誌『MELON』は地域特色に密着する誌面づくりをしていたが、最終的には廃刊に至った。『MELON』の対抗は、『ゼクシィ』による九州地方の結婚イメージの均質化を止めることはできなかった。