著者
賈 羽飛
出版者
金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習
雑誌
論文集 / 金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習 [編] (ISSN:21886350)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-12, 2021-03-20

「ばか」は、日常生活で相手を罵る時によく使う表現である。しかし、親しい人との日常的な会話では、相手を罵る場合だけでなく、一種の愛情表現とし ても使用することがある。つまり、形式的に同じ罵り言葉であっても、それに伴う感情が異なり、それに応じて、その言葉が会話の中で果たす機能も異なってくるということである。星野(1978)は、罵り言葉が、罵りとは異なる機能を有することを罵り言葉の二重機能と定義している。また、感情の伝達は、言 語表現自体だけでなく、発音の強さや抑揚、持続時間などのパラ言語情報の変化により実現されると中林(2008)は述べている。だとするなら、罵り言葉に 伴う感情が異なると、それによって音声特徴も異なってくるはずである。そこで、本研究では、日常的によく使われる罵り言葉「ばか」のパラ言語情報を、 テレビドラマを利用して比較した。その結果、「ばか」の発音には2つの異なるイントネーションのパターンがあり、それは、話し相手に対する好悪の感情 と関連している可能性のあることが分かった。この結果から、星野(1978)が指摘した罵り言葉の二重機能は、パラ言語情報という観点から分析が可能であることが示唆される。

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