著者
臼井 敬太郎
巻号頁・発行日
2019-03-31

筆者は,前橋中心商店街協同組合の依頼を受け,地域\n活性化研究事業「中心市街地におけるアートプロジェク\nトによる空き家,空き店舗の利活用研究」として,街な\nかでデッドスペースとなった空き店舗について展示会場\nとして活用する展覧会(「つまずく石の縁 ? 地域に生ま\nれるアートの現場 ? 」 主催:アートによる文化交流推\n進実行委員会,前橋中心商店街協同組合,共催:アーツ\n前橋,2018 年10 月?11 月の土休日計12 日間開催)の\n企画に協力した.街なかを舞台にした展覧会の計画には\n次のような問題意識がある.前橋市の中心市街地におけ\nる通行量は1994 年をピークに減少の一途を辿っている.\n複数の県立高校の郊外への移転や郊外への大型商業施設\nの進出にその要因が求められるが,中心商店街店主の高\n齢化や後継者不足などを背景に,廃業や一時休業に陥る\n店舗が徐々に発生してきている現実もある.前橋中心商\n店街協同組合はアーツ前橋と協同でアートプロジェクト\nとして空き店舗を作品の展示空間として活用し,街なか\nの交流拠点を増やし,にぎわい創出に向けた可能性を見\n出そうとしていた.\nそこで,これまでに筆者が研究室主体となって前橋市\n中心市街地で行ってきた建築見学会や街歩きの経験を生\nかし,中心市街地の魅力を引き出すための周知活動を中\n心とした展覧会の企画に協力した.具体的には,中心市\n街地のリサーチを通して,空き店舗を活用した展示計画\nと運営に協力し,鑑賞者の回遊性をより高めるため街歩\nきを促すマップやサイン制作など展覧会周知ツール(グ\nラフィックデザインは寺澤由樹氏が担当)の提案を行っ\nた.会期中には,筆者が講師を務める街歩きツアーを開\n催するなど,展覧会を切り口にした人々のコミュニケー\nションのきっかけを作ることで地域活性化の端緒を作る\nことを目指した.ちなみに展覧会タイトル「つまずく石\nの縁」は,ことわざ「躓く石も縁の端 = 道でつまずい\nた石さえも,その人といくらかの因縁があるということ.\nどんなにつまらないことや関係でも大事にしなければな\nらないというたとえ」から命名されたもので,展覧会を\n通した小さな気づきから人や街,地域再発見の期待が込\nめられている.

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