著者
西川 広平
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.100, pp.191-219, 2021

大江広元を祖とする鎌倉幕府の御家人長井氏を対象に、一三世紀から一四世紀にかけての同族間ネットワークの推移について考察し、文士である広元一族による在地武士の糾合と所領支配は、主要な交通路の要衝を広域的に掌握することで実現したこと、また一四世紀前半に長井惣領家を中心にして、庶子家および広元末裔の御家人との間に二重の同族間ネットワークが成立したこと等を明らかにした。これらは、執権北条氏との連携や幕府の支配体制に依拠することによって実現・成立しており、鎌倉幕府滅亡や室町幕府の政治体制の変化により、長井氏は政権の中枢を占める地位を喪失するとともに、その同族間ネットワークも解体した。これらの考察の結果、御家人の移動が列島規模で活発化した一三・一四世紀を通して、武士団のネットワークが維持される基盤の多様性を指摘した。

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