著者
生島 一真 清野 雄治 小嶋 正三
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.124, no.4, pp.245-255, 2004
被引用文献数
9

ミチグリニドカルシウム水和物(以下,ミチグリニド,商品名:グルファスト<sup>&reg;</sup>)は,グリニド系の新規速効性・短時間作用型インスリン分泌促進薬である.ミチグリニドは,膵&beta;細胞のATP感受性K<sup>+</sup>(K<sub>ATP</sub>)チャネルを介し速効性かつ作用時間の短いインスリン分泌促進作用を示すことにより,食後の血糖上昇を効果的に抑制するものと考えられている.K<sub>ATP</sub>チャネルを再構築した実験において,本薬は,心筋型のSUR2Aまたは平滑筋型のSUR2Bよりも膵&beta;細胞型のSUR1に対して強い親和性を示し,その作用選択性はスルホニル尿素(SU)薬のグリベンクラミドおよびグリメピリドに比較して極めて高かった.本薬のインスリン分泌促進作用は,in vitroおよびin vivo共にナテグリニドに比較し強力であり,SU薬に比較し速効性であった.また,正常および糖尿病モデル動物において,優れた血糖上昇抑制作用が認められた.国内の臨床試験においては,良好な食後高血糖の改善効果を示し,空腹時血糖値およびHbA<sub>1C</sub>等の臨床評価項目を低下させた.副作用はプラセボと同等であり,特に低血糖発現率もプラセボ群と差が認められなかった.以上,基礎および臨床試験成績から,ミチグリニドは2型糖尿病患者の食後高血糖改善に高い有効性を有し,かつ安全性に優れた薬剤であると考えられた.<br>

言及状況

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