- 著者
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青木 博史
- 出版者
- 獣医疫学会
- 雑誌
- 獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.2, pp.120-124, 2008
- 被引用文献数
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平成19年4月1日に,我が国は国際獣疫事務局(OIE)の規約により豚コレラ清浄国となった。すなわち,明治21年の初発生から約120年を経て,養豚分野に大きな被害をもたらした豚コレラが完全に排除されたわけである。この「豚コレラ撲滅達成」という日本の家畜衛生史に残る偉業は,他国に類をみない優れた予防・診断技術の開発や改良,それらを取り入れた撲滅計画が個々に優れているのはもちろん,過程における,生産者,各民間団体,行政機関,研究・検査機関及びワクチン製造所など関係者が一体となって取り組んできた結果によるものであり,世界的にも高く評価される。そして,豚コレラの撲滅を達成した後も「豚コレラ防疫史」をさらに築き綴らねばならない。「清浄化」は免疫のない高感受性の豚集団の再汚染・拡散のリスクを有していることと表裏一体であり,従って,豚コレラウイルスの侵入と拡散を防止するための迅速かつ円滑な豚コレラ発生予防及びまん延防止措置を継続し,清浄化を維持することが重要となる。豚コレラ清浄化から間もなく2年を迎える現在,関係者の不断の努力により野外ウイルスの侵入を許していない。この監視体制をもって豚コレラ清浄化を継続・維持しなければならない。