著者
野村 安宏
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.236-244, 1990
被引用文献数
4

新規木材用防かび剤の性能を明確にするため,研究室レベルの試験から野外試験等の中規模試験を経て最後に現場での実用試験(モニター)を行った。<BR>数種の単独及び混合の化合物を,種々の剤型に製剤化し,日本木材保存協会規格第2号に従って防かび性能を評価した.その結果,化合物単体を製剤化した場合には,TPICN及びTCMTBはそれぞれ乳化製剤で高い効力を示し,IPBCは可溶化製剤で高い効力を示した。また化合物を混合して製剤化した場合では,TCMTB+MBTCが乳化製剤で高い効力を示し,TCMTB+IPBCは可溶化製剤で高い効力を示した。<BR>また各種剤型について,その実用可能性を検討した結果,浸漬処理法での作業液安定性を初め,総合的な性能を満足する製剤は乳化タイプであり,本実験ではTCMTBとMBTCとの混合物を主成分とする下記の乳化タイプが実用上優れた性能を発揮した。<BR>(1)水不溶性の有機溶剤単独またはそれと水溶性の有機溶剤を組み合わせたものが,溶剤として良好なもので,界面活性剤はHLBが適合する非カチオン系のものが良い。この組み合わせで製剤化したものが,浸漬処理使用での作業液の長期繰り返し使用にも耐えうる最も優れた乳化安定性を示した。<BR>(2)上記の水不溶性溶剤を配合する乳化タイプ製剤は,水希釈(作業液)時の液性が弱酸性(pH5~7)を示すものでも極度の鉄腐食性を示さず,処理材にも変色が見られなかった。<BR>(3)乳化タイプの製剤品では,水で希釈して初めて乳化性を示す溶媒系製剤が,水系乳剤製剤より気温の変化(-20~40℃)に安定であった。またその性状は低粘度のものが,現場での水希釈時に敏速かつ均一な乳化性を示した。

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こんな論文どうですか? 木材用防かび剤の製剤化に関する研究 : 剤型による効力と作業液安定性の関係(野村 安宏),1990 http://t.co/M5MbwlOx
こんな論文どうですか? 木材用防かび剤の製剤化に関する研究 : 剤型による効力と作業液安定性の関係(野村 安宏),1990 http://t.co/M5Mg3VXH

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