著者
山川 祥秀
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.470-478, 1988
被引用文献数
1

ブドウ'シャルドンネ'及び'カベルネ•ソービニオン'のウイルスフリー樹とウイルス汚染樹の果粒の重さと大きさ, 果汁成分の経時的変化を, 1983年 (4年生樹) と1984年 (5年生樹) の2か年にわたり比較調査し, 次の結果を得た.<br>1. ウイルスフリー樹及びウイルス汚染樹の果粒は,'シャルドンネ'では9月中旬最大に達し, その値は両年ともほぼ同じで, 果粒重は2.0g, 果粒径は13.8mmであった。果房重はウイルスフリー樹では着粒数が多いため220g, ウイルス汚染樹は160gであった. 'カベルネ•ソービニオン'では10月初旬最大に達し, その値は両年ともほぼ同じで, 果粒重は1.6g, 果粒径は12.2mmで, 果房重はウイルスフリー樹は230g, ウイルス汚染樹は170gであった.<br>2. 果汁糖度, グルコース及びフラクトース含量は,'シャルドンネ'では9月下旬最大に達し, 1984年のウイルスフリー樹で22.5度 (グルコース10.6%, フラクトース11.0%) で, ウイルス汚染樹で17.2度 (グルコース8.0%, フラクトース8.3%) であった. 'カベルネ•ソービニオン'では10月初旬最大に達し, 1984年のウイルスフリー樹で21.0度 (グルコース9.8%, フラクトース10.2%) で, ウイルス汚染樹で17.2度 (グルコース7.8%, フラクトース8.1%) であった.<br>3. 1984年の完熟期における果汁酸度, 酒石酸及びリンゴ酸含量は, 'シャルドンネ'ではウイルスフリー樹0.76g/100ml (酒石酸0.60%, リンゴ酸0.30%), ウイルス汚染樹0.60g/100ml (酒石酸0.45%, リンゴ酸0.35%) であった. 'カベルネ•ソービニオン'ではウイルスフリー樹0.68g/100ml (酒石酸0.45%, リンゴ酸0.30%), ウイルス汚染樹0.78g/100ml (酒石酸0.60%, リンゴ酸0.35%) であった.<br>4. 'シャルドンネ'について, ウイルスフリー樹で造ったワインは'シャルドンネ'らしい品種特有の香りが強く, 酸味も適当で全体に調和がとれて高品質であった. 'カベルネ•ソービニオン'について, ウイルスフリー樹で造った1984年産ワインは'カベルネ•ソービニオン'らしい品種特有の香りが強く, 調和のとれた上品さを持ち, 酸味と渋味も充分あり高品質が期待できた.

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