- 著者
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伴野 潔
林 真二
田辺 賢二
- 出版者
- 園藝學會
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.1, pp.15-25, 1985
- 被引用文献数
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6
21
ニホンナシの花芽形成の機構を探る目的で, 花芽の着きにくい品種'新水'及び着きやすい品種'豊水'を用いて, 新梢上における花芽形成と新梢の各部位における栄養成分並びに内生生長調節物質との関係について比較検討した.<br>1. '豊水'では6月30日にほぼ新梢生長が停止したのに対し, '新水'では'豊水'よりも20日遅れ7月20日に停止した.<br>2. '豊水'の腋芽では, 新梢生長停止後急速に節数が増加し, 花芽が分化•発達した. 一方, '新水'の腋芽では'豊水'よりも20日遅れて7月30日に花芽分化の徴候がみられたが, その後の分化•発達はほとんど認められなかった. また, 最終的な花芽形成率は'新水'で15.5%, '豊水'で79.0%であった.<br>3. 両品種の腋芽において, 全窒素含量にはほとんど差異は認められなかったが, 全糖含量, でんぷん含量及び C/N 率は'新水'の方が'豊水'よりも高く推移した.<br>4. '新水'の茎頂では'豊水'に比べ, 特に生長の盛んな時期にIAA含量及びジベレリン含量が高かった.<br>5. '豊水'の腋芽では, 生育期間を通して'新水'よりもジベレリン含量及びABA含量が低く, 逆にサイトカイニン含量が高かった.<br>以上の結果から, ニホンナシの花芽形成は芽において12枚のりん片が形成された後, 節数が急速に増加するかどうかによって決定されること, さらにこの過程には内生生長調節物質が密接に関連しており, そのうちでも特にジベレリンとサイトカイニンが重要な役割を果たすものと推察される.