著者
小西 国義
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.107-113, 1980
被引用文献数
5 9 9

キクの普通株及び無低温株に種々の処理を加えて親株とし, 長日下で育成した苗を摘心後15°C•短日に移して茎の伸長と発らい状態を調べ, ロゼット化つまり生長活性低下の誘因を検討した.<br>数年間にわたって無低温(15°C以上)条件下にあったキクは, 継続して低い生長活性を示し, 15°C•短日に移されると, 一部の例外を除いて, 常にロゼット状になった.<br>冬に低温を受けた普通苗は秋まで高い生長活性を示し, 10~11月になって活性が低下した. 活性の低いキクも20°C以上の温度ではよく伸長し, 25°Cではよく発らいした.<br>夏を無高温 (15°C) で, つぎの冬を無低温 (10°C以上) で経過したキクは, 翌年夏まで高い生長活性を示したが, その冬に低温を受けたものより早く活性が低くなった.<br>冬低温を受けた株に, 春及び初夏に高温を与えても生長活性は低下しなかった. キクはいったん低温を受けて長期間生育してのち, 数か月にわたる比較的長期間の高温を受けると生長活性が低下するものと思われる. その際, 低照度が活性低下に促進的に作用する.

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