- 著者
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吉田 絵里
- 出版者
- 一般社団法人 日本女性科学者の会
- 雑誌
- 日本女性科学者の会学術誌 (ISSN:13494449)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.1-12, 2007
分子内に溶媒不溶部を持たず分子的に完全に溶解している“非両親媒性高分子”に対して自己組織化を起こさせる新規なミセル形成法について紹介する。1,4-ジオキサン中では非両親媒性高分子であるポリ(4ビニルフェノール)-<i>block</i>-ポリスチレンジブロック共重合体は、単独では自己組織化を示さないが、α,ω-ジアミンの存在下では球状ミセルを形成する。このミセルは良好な感熱応答挙動を示し、温度により解離再形成が可逆的に制御される。また、臨界ミセル濃度は共重合体濃度ではなく、自己組織化の誘発物質であるジアミン濃度により決定される。このミセル形成を利用すればさまざまな分子設計が可能である。例えば、両親媒性高分子からは合成が難しいクルーカットミセルやランダムブロック共重合体ミセルを容易に得ることができる。これらの特徴を染料のナノ粒子化に応用した例についても述べる。