著者
若山 将実
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.17, pp.142-153,207, 2002

1970年代に入って支持の増大を経験したイギリスの第三政党は,現在では主要政党の一つとして定着している。本稿は,第三政党支持を変化させる要因を業績評価投票モデルから再検討する。業績評価投票モデルに依拠したこれまでの研究は,政権与党の業績に対する否定的な評価によって有権者は野党に投票するとした仮定がイギリスの第三政党に当てはまらないことを主張してきたが,本稿の分析は,選挙区レベルの経済状況の変化と政党競争の状況を考慮すると,第三政党は経済状況の悪化に対する有権者の不満の受け皿として支持を増大させていることを明らかにした。また,そうした有権者の不満の受け皿としての役割は,第三政党が野党第一党として定着している選挙区において特に大きいことが本稿の分析からわかる。

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