著者
伊藤 徹魯
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.135-148, 1985

北海道の奥尻島青苗遺跡において1950年に発掘され, 北海道開拓記念館と札幌西高等学校に所蔵されているニホンアシカ<I>Zalophus californianus japonicus</I>の頭骨7個と下顎片8個の標本について23部位を計測し, 上・下顎頬歯数及び7縫合と2軟骨結合の消失度を調べ (Tables1, 2) , これらの標本を本種雄成獣のものであると同定した。また, ニホンアシカの頭骨ではいくつかの部位の絶対値と頭骨基底長に対するそれらの相対値が, カリフォルニアアシカ<I>Z. c. californianus</I>及びガラパゴスアシカ<I>Z. c. wollebaeki</I>より有意に大きく, ニホンアシカとカリフォルニアアシカは上顎頬歯数で異なることを明らかにした。従って、明瞭な形態的差異がないことなどを根拠としてニホンアシカをカリフォルニアアシカの亜種としていた従来の分類は再検討を要すると考えられる。

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